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京都地方裁判所 昭和43年(わ)1370号 判決

主文

被告人両名はいずれも無罪。

理由

本件公訴事実の要旨は

「被告人戸毛国弘は、日本中国友好協会(正統)京都府本部理事、被告人田中年広は、同本部会員であるが、昭和四三年一二月三日午後六時四七分頃から京都市東山区祗園町南側五七〇番地所在の弥栄会館三階劇場で行なわれた劇団はぐるま座の演劇「嵐」公演に際し、同劇場内観客席にいた京都府警本部警備部外事課勤務巡査部長大島純郎(当四二年)を発見するや、同人の入場を不当としてこれに抗議非難しようと企て、他数名と共謀の上、同日午後八時四五分頃、同人の着席位置付近において、同人に対し、「警察やろ、出るか」と詰め寄り、矢庭に同人の右腕を引張るなどして同人を引き出し「この会場に国家権力の手先である私服がもぐり込んでいる」等と怒号しながら、同人の両腕を左右からかかえ、背中を押し、左大腿部をもち上げる等の暴行を加えて、同人を同所より観客席北側舞台下を経て同会館三階南側応接室まで拉致し、同応接室内において、同人を長椅子に坐らせ、その周囲を取り囲み、入口に見張員数名を配置した上「なぜ入つた。入つた理由をいえ」等と繰り返し、難詰し、同九時四〇分頃同人の両腕を引き張り長椅子から無理矢理立たせ、同人の両腕を左右からかかえて同人を同応接室より舞台上に引つぱり出し、観客に向かつて「先程の私服は京都府警本部外事課の大島巡査部長だ」「この男は我々の運動をさぐりに来た」等と叫び、マイクを同人の口許に突きつけ、数分にわたつて執拗に謝罪を要求した後、再び同人を同応接室内につれ戻す等し、もつて同日午後八時四五分頃より同一〇時一五分頃までの間約一時間三〇分にわたり、前記弥栄会館三階劇場内および同階南側応接室等において同人の行動の自由を束縛して脱出を不能ならしめ不法に監禁したものである」

というにある。

本件に顕れた凡ての証拠を綜合して当裁判所の認めた事実は次の通りである。

(一)  本件発生までの経過

昭和四三年一二月二日午後四時頃から、京都府警本部警備部外事課山崎警部、緒方警部補から同課員らに対し、同月三日京都市東山区祗園町南側五七〇番地所在の弥栄会館において行なわれる劇団はぐるま座「嵐」公演に関する指示があり、同課員である大島純郎巡査部長、益田紀男巡査部長に対し、私服を着用し、警察手帳を所持しないで前売券で同会館へ入場するように指示があり、大島、益田両名は緒方から各々前売券一枚の交付を受けた。

同月三日午後六時一五分頃大島は古ジャンバー、黒ズボン、レインコート等を着用して前売券を呈示して同会館へ入場し、同会館三階劇場南側後方観客席に着席し、同六時三〇分頃益田は茶色背広上下、草色コート等を着用して前売券を呈示して同会館へ入場し、同劇場中央後部観客席に着席した。この際、大島、益田両名は警察手帳を所持していなかつた。

同六時四〇分頃、被告人戸毛が舞台上に立ち、観客に対して挨拶し、同六時四八分頃、第一幕が開演になつたが、大島は被告人戸毛が自分の前方の観客席に着席したため発見されるのを虞れ、一幕終演後、同劇場北側後方の二一列五番席へ移つた。

同七時四七分頃第二幕が開演されたが、約五分後黒服を着た男が大島に近付き、「警察の方ですか。」「前売券で入りましたか、当日券で入りましたか。」「住所はどこですか。」等と質問したので、大島は同人に対し、「警察ではない。」「前売券で入りました。」「住所は茨木です。」

と答えた。

第二幕終演直前、被告人戸毛が大島の横に来て「警察ではないか。」と詰め寄つて来たが、大島がこれに答えないで同八時五〇分頃第二幕が終演した。

(二)  本件事実

第二幕終了後、氏名不詳者一名は大島の右腕を引張り、氏名不詳者一名は同人の左腕を押し、同人を前記観客席北側道路に押し出した。このとき、被告人戸毛は観客席から立ち上り、観客に対し「私服が潜り込んでいる。」と叫び場内は騒然となつた。

氏名不詳者は大島の両腕を左右から掴み、氏名不詳者一名は背後から同人のズボンのバンドを掴み、被告人戸毛および氏名不詳者数名は同人を取り囲み、右通路を経て舞台北側花道付近まで同人を連行し、同人を舞台上に押し上げようとしたが、舞台が高いためこれを断念し、右同様の状態で右通路を戻り、前記劇場北西出入口から、同劇場北側、東側、南側各ロビーを経て、同九時頃同会館三階南西隅にある応接室に同人を連れ込み、氏名不詳者三名が右応接室のドアの外に見張りに立つた。

右応接室内において、被告人戸毛は大島に対し同室北西隅にあるソファーに座るように命じて着席させ、被告人戸毛は同人の右側に座り、被告人田中は同人の右斜め前方に立ち、氏名不詳者二、三名とともに同人を取り囲み、被告人戸毛において同人に対し「警察やろう。」「何故入つた。」「警察手帳を見せ。」等と申し向けたが、同人はこれに答えなかつた。さらに被告人戸毛および土井某において同人に対し、「早く書け。入つた理由を書け」等と申し向け、同人の前の丸テーブル上の紙にボールペンで同人が立入つた理由を書くように要求し、被告人田中において「おつさん早う書け。」と申し向けた。

第三幕終演前、氏名不詳者二名は同人の両腕を左右から掴み、同人を右応接室から連れ出し、右応接室北側廊下、舞台西南隅、舞台裏を経て、舞台北西隅へ連れて行き、第三幕終演まで同所において同人を待たせた。

第三幕終演後、氏名不詳者二名は同人の両腕を掴み、舞台の緞帳の前へ引き出し、被告人戸毛が舞台北西隅から観客に対しマイクで「この男は外事課の大島部長だ。」と叫び、同人の口許にマイクを突きつけ、「謝まれ。」と数回にわたり要求したが、同人は謝まらなかつた。

その後、右同様同人の両腕を掴み、舞台南側花道を経て同人を右応接室に連れ戻し、同応接室南西隅の肘かけ椅子に同人を座らせ、被告人戸毛は同応接室南側の肘かけ椅子に座り、その他近藤某、小野某、氏名不詳者一名が右応接室内におり、氏名不詳者三名が同応接室のドアの外に見張りに立つていた。

同一〇時一〇分頃、緒方警部補、沢村巡査部長両名が右応接室へ駆け付け、同人らの要求によつて、大島は同一〇時一五分頃釈放された。

さすれば結局、

被告人両名は氏名不詳者数名と現場において共謀のうえ、昭和四三年一二月三日午後八時五〇分頃から同一〇時一五分頃までの間、大島純郎の行動の自由を束縛し、右劇場内および右応接室からの脱出を不能ならしめたものであるから、監禁罪の構成要件に該当することは明白である。

然るに弁護人は次の如く主張するので、当裁判所の判断を披瀝する。

弁護人の主張の趣旨は、第一被告人等の行為は可罰的違法性なく従つて不法監禁の構成要件に該当しない。第二仮に被告人両名の行為が形式的に構成要件に該当するとしても、刑法第三五条の正当行為として違法性を阻却する。しからずとするも、第三健全な社会通念より判断して、その動機目的が正当であり、方法手段が相当であり、かつ衝突する法益の価値関係において均衡が失われず、しかも全体として法秩序に反しないと認められるときは、定型化された違法性阻却事由の要件を充していない場合にも超法規的に違法性が阻却され、犯罪は成立しないのであり、本件において被告人両名には、これらの要件が充足されているから無罪であるという。

弁護人主張の第一に就いて本件の如く法益侵害の程度が軽微であるから日常生活で看過されるもので可罰的違法性がないとの点に対しては後述の如く法益侵害の程度は軽微であるが刑法の処罰に価しない程度のものであるとも謂えず第二に就いては官憲が違法行為に及んだ場合には国民たる被告人等が之に抗議する行為は正当行為であると謂うがこれを以つて直ちに刑法第三五条の正当行為と謂うを得ない第三に就いてある行為が構成要件に該当する場合には、一応違法であるとの推定を受けるものであることは、一般に承認されるところであるが、これは、憲法を頂点とする法規範に形式的に違反することが違法であると解することに基くものである。しかし、右のように違法性の本質を形式的に解するだけではなく、更に実質的に解し、当該行為が社会共同生活の秩序と社会正義の理念に照らして是認されないことが違法性の本質であるとするべきである。刑法第三六条および第三七条は、正当防衛、緊急避難として、ある法益に対する不法な侵害行為に対する一定範囲内の防衛行為は、それが形式的に構成要件に該当する場合でも違法性が阻却されると定めているが、これは違法性の本質を右のように理解することに基づいているのである。しかしながら、このような防衛行為の違法性が阻却される場合は、明文に定められているときに限ると解すべきではなく、明文の要件を充足しない場合であつても、法規範が持つ形式性を除去し、具体的妥当性をはかるために例外的に違法性が阻却される場合を認める必要があることは弁護人主張の通りである。この場合における違法性阻却の要件は、違法性の本質を右のように解することに基づき、社会共同生活の秩序と社会正義の理念を基礎として考えられるべきであるが、具体的には行為が健全な社会の通念に照しその防衛行為の動機目的が正当であり、その為の手段方法が相当であり、且つ緊急にしてまことに止むを得ない行為であり、又その内容においても、その防衛行為によつて防衛される法益が防衛行為によつて損害を受ける法益とを対比して、均衡を失わない等相当と認められ、行為全体として社会共同生活の秩序と社会正義の理念に適応し、法律秩序の精神に照し、是認出来る限り、仮令正当防衛、緊急避難ないし自救行為の要件を充さない場合でも、超法規的に行為の形式的違法の推定を打破し、犯罪の成立を阻却するものと考える。

そこで本件において、右のような違法阻却の要件が具備されているか否かについて判断する。

(1)  動機目的について。

前判示のように、被告人戸毛は第二幕終演直前大島純郎が着席していた観客席において、同人に対し、「警察やろ」と問いかけ、前記応接室において同人に対し「警察やろう」「何故入つた。」「警察手帳を見せ。」等申し向け、被告人田中らとともに立入りの理由を紙に書かせようとしていたのであるから、被告人両名の行為は大島の身分および立入りの理由を明らかにすることを目的としていたことが認められる。

また、証人中原秀雄の当公判廷における証言によれば、中原は前記会館の支配人であるが、同人は開演前同会館内を巡回して異常の有無を確認し、その後は同会館一階西側の事務室においてスピーカーを通じて前記劇場内の様子を聞いていたにすぎないこと、当日券の販売、切符もぎり等は主催者にまかせていたこと、被告人戸毛が主催者であつたことが認められる。であるとすれば、被告人戸毛は同会館を現実に支配していた者であり、被告人両名は警察官職務執行法第六条第二項第四項にいわゆる「これに準ずる者」に該当すると解するのが相当である。

よつて、右のような地位にある者が、警察官かもしれないと疑われる人物に対し、その身分を明らかにさせ、警察官であるならば立入りの理由を尋ね場合により退場を要求することは警察官職務執行法第六条第四項によつて肯認されるところであり、この措置により集会結社及び表現の自由を擁護しようとしたもので主催者として当然の行為であり被告人両名の右行為に出た動機目的は正当であると解する。

(2)  手段方法について。

前判示のように、第二幕終演後、大島純郎が被告人戸毛らに発見されると場内は騒然となつたのであるから、これを鎮め、公演を続行するために被告人両名らがその場において大島に質問するより、はるかによいと考え前記応接室へ大島を連行したことは右情況下ではやむを得なかつたものである。即ち第三幕終演後大島を舞台上に連れ出し、混乱の原因を作つた同人に対し、謝罪を要求した点も観客の中から本人を上に引きづり出して釈明させろ、謝罪させろの声が盛んで本人に危害が及ぶ虞れもあり、まことに止むを得ない行為であつたと謂うべきであり、之を以て不当と謂う事は出来ない。又その態様においても、前判示のように大島の両腕を左右から掴み、背後からズボンのベルトを掴む等したものであるが、右行為は任意に歩行しない者を連行する手段としては、最少必要限度のものであると考えられ、前記応接室内においても大島をソファーあるいは肘かけ椅子に座らせたのみで暴行脅迫に及ぶことなく、大島の身分および立入の理由を詰問したにすぎず、舞台上で大島の口許にマイクを突きつけ謝罪を要求した点についても、過度にわたるものではないと考えられる。更に、被告人両名の監禁行為は、前判示のように約一時間二五分にわたるものであるが、右のような時間になつたのが、被告人両名らが大島に対し、同人の身分を尋ね、警察官ならば立入の理由を明らかにするよう求めたのに対し、同人が終始これに対して沈黙して答えなかつたことに起因することを考え併せれば、被告人両名のみにその責を負わせることは過酷であると言わざるを得ない。以上のように、被告人両名らの行為は、実力の行使としては最少必要限度のもので、過度にわたるものではなく、監禁時間が延引した原因が専ら被害者大島にあるのであり、時間それ自体としても長時間とは言えないのであるから、被告人両名の行為は、当時の情況下ではその手段、方法において相当であるのみならずこの混乱した事態を収拾して公演を平穏に継続する為には緊急にして、まことに止むを得ない当然の行為と謂うべきである。

(3)  法益の権衡について

証人近藤良男及被告人戸毛の当公判廷における供述によれば、前記公演の前売券は日本中国友好協会(正統)京都府本部を通じて同会々員のみに販売され、さらにそれを購入した会員から他の会員もしくはその知人に販売されたこと、当日券は前売券を購入できなかつた者に対し警察官でない限り自由に販売されたこと、京都市内に掲示されたポスターおよび配布されたビラは、同公演が行なわれていることを多数人に知らせることを目的とし観客を募るためではなかつたことが認められないこともないが、同公演は実質的には、特定及び不特定人を対象とした公開の集会の性質を有するものであると解される。即ち被告人両名及び前記劇場内に集合した会員等は、集会結社の自由を享受していたものであり、両名の防衛しようとした法益は「はぐるま座公演」という表現の自由のみならず、集会結社の自由をも含むと解する。

本件における集会結社及表現の自由とは後述の如く警察官から監視等されることなく換言すれば無言の圧迫をうけることなく平穏な集会をもち且つ公演出来る自由と解する。被害者大島が同会場に潜入するに至つた経過を見るに、警察当局と近藤理事長との話合いで、警察官の立入を拒否されたのである。勿論本公演は公開であるから一般人はもとより警察官職務執行法第六条第二項の要件がある時は重ねて立入要求権を行使しうるに止まり正当な理由なくして拒んだ時においても承諾義務を訓示規定にとどめた以上は仕方なく敢て立入ることが出来ない。尚第四項により入場した警察官は、要求されればその理由を告げ、身分を示す証票を呈示する義務があることは勿論である。

ところで、司法警察員作成の「はぐるま座嵐公演に対する日中友好協会京都府連の反対ビラの入手について。」「はぐるま座京都公演をめぐる反対演説について。」「はぐるま座公演に反対するビラ配布の状況について。」と題する各書面によれば、前記公演を阻止しようとする各種団体(以下「公演阻止派」という。)によつて、公演阻止を趣旨とする演説が行なわれ、同旨のビラが配布されていたことが認められるが、証人近藤良男の当公判廷における供述によれば、日本中国友好協会(正統)京都府本部が主張した、昭和四一年一二月頃の北京歌舞団の公演、同四二年三月の大塚有章の講演会、同一〇月頃の東方曲技団の公演、同四三年三月頃のはぐるま座「野火」公演等においては、これらを阻止する趣旨の演説、ビラ配布が行なわれていたにもかかかわららず、現実には、会場内においては何ら衝突はなかつたことが認められる。従つて、前記公演に際し、右判示のような演説が行なわれ、ビラが配布されていても、以上のような事情を考えると、直ちにこれをもつて前記劇場内において犯罪の予防又は人の生命、身体若くは財産に対する危害の予防の為に警察官立入の必要があるとは、到底認めることができない。然し、仮に百歩を譲り立入り要求権の目的が認められたとしても立入りを拒否された以上前記の如く強制立入りは法文上認められないから結局大島純郎、益田紀男両名の立入りは警察官職務執行法第六条第二項に違反し、また前記認定の通り、立入りを拒否されたにも拘らず立入り場内を混乱させたことは、初めから予想されたことであり結局被告人等の業務を妨害したもので警察官職務執行法第六条第三項に違反し、且つ又前判示のように被告人戸毛が大島純郎に対し警察手帳の呈示方を求めた行為は正当であるが、大島は警察手帳を所持しておらず、被告人戸毛の右要求に応じられなかつたものであり、右は警察官職務執行法第六条第四項に違反するものである。

然るに、証人緒方広、同大島純郎、同益田紀男の当公判廷における各供述中には、大島、益田両名は、公演阻止派が前記劇場内において、野次を飛ばし騒音をたてビラを配布する等してトラブルが発生することが予想された為、トラブル発生の際には、これを前記会館付近にいる緒方警部補らに連絡する目的で同劇場内に立入つた旨の供述があるが、(一)近藤理事長との交渉で表面上一応立入りを断念したかの態度を取りながら敢て私服警察官を潜入させたこと(二)本来この種事件は警備課の担当であるに拘らず外事課の大島等が担当し且つ(三)前記のように殊更に大島、益田両名が警察手帳を所持せずに入場していること、(四)被告人等或は他の会員が大島に対し同人の身分、立入りの理由を質問したのに対し同人が「警察でない」「住所は茨木だ」とか虚偽の供述をしまた沈黙していること、(五)本公演が政治的、思想的背景のある演劇であること、(六)入手先も証言出来ない様な方法で手に入れた入場券で入場していること等を併せ考えると右大島等が右目的のみで立入つたものであるとは到底信用出来ず却つて大島等は警察官であることを終始かくしており警察官職務執行法第六条第二項第四項に則り警察官として堂々その立入理由、身分を明らかにする意思は初めからあつたとは認められず、警察官であることを秘さねばならぬ様な目的で立入、行動していたもの即ち被告人等及弁護人主張の通り入場者の調査換言すれば京都市における毛沢東支持勢力の範囲、動行を掴む所謂情報収集活動の目的で潜入したものではないかとの疑がもたれる。

よつて被告人両名の防衛行為によつて侵害された大島純郎の行動の自由は、右のような自らの違法な行為に起因するものであり、これに比較して、被告人両名が防衛しようとした集会結社及び表現の自由は遙かにこれに優越するものである。

結局本件の如く警察官が警備活動に名をかりて警察官職務執行法に違反して劇場へ情報収集活動の為に立入つた場合被告人等がその立入りの事由を明確にする為の措置を講じもつて憲法に規定する基本的人権を護ると謂う動機目的で、且つ同人等によりなされた防衛行為により保全せんとした憲法による集会結社及び表現の自由と謂う法的価値が、同行為により被つた警察官の個人的法益の価値より優越し、その方法手段が相当であり、且つ緊急にしてまことに止むを得ないものとして認められる限り、被告人等の該行為は刑法上超法規的に違法を阻却せられるものと請うべきであり結局罪とならず刑事訴訟法第三三六条により無罪の言渡をする。(森山淳哉)

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